留学体験談  「自分自身を知るための留学」  吉田睦(留学時3年生)


 

【留学先学校名】
・Uldum Højskole (2014年8月~2014年12月)
・Rødding Højskole (2015年2月~2015年6月)


 デンマーク語専攻の学生になった直後から、絶対にデンマークに留学する!と考えて2年間デンマーク語を勉強してきました。それがデンマーク語を勉強する上でのひとつのモチベーションでした。しかし学生生活も中盤に入った時、就活準備の講義で「言語習得だけならば日本でもできる。卒業を1年遅らせてでも留学する意味は何なのか、はっきり答えられなければ留学に行く意味はない」と言われました。ドキッとしました。私はどうして留学に行きたいとずっと思ってたんだっけ?周りの多くが留学に行くから何となく私も行く流れに乗っていただけではなかっただろうか、と。そこでもう一度私にとっての留学の目標をはっきりさせることから始めました。今思えばそこから留学は始まっていたんだなと思います。それから本当に色々考えて最終的に出た答えはデンマークのFolkehøjskoleに留学しようということでした。留学の目的は、デンマーク語を上達させることは前提として「自分のことをよく知ること。いろんな文化に出会って自分の視野を広げること」。Folkehøjskoleはデンマーク人も高校卒業後の進路を考えるためギャップイヤーを使ってやってきたり、社会人が仕事から一旦離れて自分の将来について考えたりする時に利用しています。だからFolkehøjskoleは私の留学目的にぴったりだと思ったのです。今までずっと実家暮らしで親元を離れたことがなかった私にとって、留学というのは自分を試すいいきっかけだったと思います。しっかり目標を設定して臨んだため、留学中は自分について見つめ直す時間をたくさん持てましたし、多様な授業内容や旅行でいろんな出会いができました。

 私の留学は、8月〜12月Uldum Højskole /1月の2週間半タンザニアに滞在/1月下旬〜2月上旬ヨーロッパ旅行/2月〜6月Rødding Højskole、という感じでした。
 Uldum Højskoleは選べる科目の種類の多さが特徴です。「専攻」というのを設定せず、1ヶ月ごとに約5教科様々な分野から授業を選択できます。色々やってみたいけど自分の興味のある分野、得意な分野が何なのか分からなかった私にとって沢山お試しできたので良かったです。先生方も本当に優しくて気さくな方ばかりで、何もかも初めてだった私にとってすごく居心地の良い学校でした。そしてもう一つ特徴的なのは、生徒の中の希望者はコース終了後にタンザニア研修に参加できるということです。もちろん自費ですが、日本からタンザニアに安全な方法で行ける機会なんて恐らく一生やってこないだろうと、思い切って参加しました。この話をしようとすると何時間でも話せますが、あまりここに書くとスワヒリ語専攻のホームページと間違えられそうなので手短に。参加者は私以外全員デンマーク人だったので、現地の通訳はデンマーク語⇔スワヒリ語でした。(もちろん英語の通訳の方もいましたが。)それは本当に貴重な体験だったと同時に、私自身のデンマーク語上達を実感できた瞬間でした。

        

 2校目のRødding Højskoleは外国人は私だけという学校でした。(ちなみにUldumは移民の方や私たちのようにデンマーク語を勉強している留学生がいました)半年間デンマークに暮らしていたのである程度慣れていたはずだったのですが、やはり言語だけでなくデンマーク人独特の空気についていけず、少し焦ったのをよく覚えています。Uldumよりも派手めな生徒がたまたま集まっていたこともあり、私は常に人の輪の後ろの方にいてしまいました。そんな控えめでは全然だめ、留学前にたてた目標はなんだったんだと、なんども自分にイライラして悔しくて泣いてしまうこともありました。自分でできる小さいことから克服していこうと思い、日本の紹介をスピーチしたり、日本食をみんなで作る日を設けたりして頑張りました。その時は皆興味を持っていろいろ質問したりしてくれましたが、やっぱり日常生活となると最後まで私は会話の端の方にいることしかできませんでした。そんなだから私きっと嫌われてるんだろなと思っていました。でも留学最後の日に先生が「睦はすごくシャイだからあんまりしゃべらないけど、そんな睦がみんな大好きなんだよ。沢山アピールしなくてもRøddingの皆に好かれているっていうのはあなたらしさ。」と言ってくださったことは一生忘れません。微力ながら頑張ってきて良かったなと思えたし、自分らしさってこういうことなのかなと教えていただきました。

   

 皆さんも留学を考える時には目標を必ず立ててみてください。何となく海外生活を送るのとは全然充実度が違うと思いますし、目標に到達した時の達成感はこの上ないからです。Folkehøjskoleは時間の流れがゆったりしていて自分自身を見直す時間が沢山あります。ですので目標がはっきりできなくても、フォルケで生活するなかで将来について考えるのもよいと思います。以上つたない文章でしたがこれから留学を考えている方のお役にたてたら幸いです。