留学体験談② 「フォルケホイスコーレでの生活」 宮城 悠旗(学部3年)
僕はデンマークのウルドゥム・ホイスコーレ(Uldum hojskole) というフォルケホイスコーレに6ヶ月留学していた。留学生活について書くことは非常にたくさんあるが、ここではその中から少しだけ抜き出して書いてみることにする。
ウルドゥム・ホイスコーレは何かに特化したフォルケホイスコーレではなく、様々な授業を自分の興味に応じて選ぶことができた。毎週8種類ほどの授業を受け、1、2ヶ月で新たに授業を選び直すシステムで、幅広いジャンルの授業を学ぶことができた。その反面、何かを集中的にハイレベルで教えるのではないため、広く浅くしか学べないが、いろいろなことにチャレンジしてみたかった僕にはちょうど良かった。
僕は音楽に興味があり、ギターが少し弾けたので、バンドの授業を多く取っていた。日本ではバンド演奏をしたことがなく、またするほどの腕前でもなかったが、初心者が多いこともあり、気軽に授業を受けてみた。実際にバンドとして演奏してみるととても楽しく、授業を通じて他の生徒と仲良くなることができた。その後も(時にはデンマーク語の授業を取らずに)バンド系の授業を取り続けた。音楽系の授業は、バンドのほかにもレコーディングスタジオの授業もあった。日本ではなかなか体験する機会のないことだったので、いい経験になった。
授業は他にも合唱、写真、バレーボール、料理、ダンスなど、基本的に今まで僕があまりやったことのないようなものを選んだ。「広く浅く」とはいえ日本で僕があまり体験する機会のなかったことがたくさんあり、ある意味かなり濃い6ヶ月になった。
フォルケホイスコーレでのデンマーク人達との交流を通して、僕は日本人とはどういうものかを再確認し、またそれによってデンマークの良さに気づくこともできた。例えば日本では年上や目上の人と話す時は(相手にもよるが)話し方や言葉遣いに気をつけなければならず、多少なりとも精神的緊張が付き物だが、デンマークでは特にそのようなことはなく、歳の差に関わらずフレンドリーに接していた印象がある。フォルケホイスコーレでは生徒の年齢に上限がないため、自分の倍ほどの年齢の人との交流もあり、40代のおじさんとビリヤードをするような新鮮な体験もできた。日本から帰ってきてしばらくは、デンマークのそのような風潮に慣れていたため、日本での気を遣う文化に慣れるのに少し時間がかかった。
日本語でも英語でもない言語を話す人々に囲まれた生活は初めてで、言葉を理解できない辛さを長い間感じることになった。しかしそこでの経験とそこで知り合った人たちは僕にとってかけがえのないものである。いつかまたデンマークを訪れたいと僕は思う。