留学体験談  「デンマークを体感する1年間」 矢野満里絵(留学時4年生)


 

【留学先学校名】
・University College Lillebælt(2014年8月~2014年12月)
・Nørgaards Højskole(2015年1月~2015年6月)


 私は、10ヶ月のデンマーク生活の中で、前半の4ヶ月を教員養成大学で、後半の6ヶ月をフォルケホイスコーレで過ごしました。
 教員養成大学では、デンマーク教育の歴史や基本となる知識や、デンマーク流の教授法について学ぶことができました。また、教師を志す学生達と実際に授業を受け、かかわり合いをもてたことで、教育先進国といわれているデンマークでは、どのような人材が教師を目指し、またどのように彼らの育成を行っているのかを自分の目で見て、体感することができました。そして何より一番心に残っていることは、現地小学校にて週1度の教育実習です。デンマーク人の子どもたちと触れ合いながら、授業を見学し、時にはアシスタントをとして授業に関わることもありました。私なりにデンマーク語で子どもたちとコミュニケーションをとると、発音や単語を教えてくれ、私にとって一番発音に厳しくそして優しいデンマーク語の先生は学校の子ども達でした。担当の先生方と何度もお話をさせていただき、学生へのインタビューを行うことができ、さらには特別に保護者懇談にも参加させていただいき、デンマークの教育現場を知ることができました。その中で、もちろん学んできたデンマーク教育の良さを再認識することもあれば、日本では情報が得られなかった新たな取り組みを知ることや、一方で日本よりも教育先進国だと思っていたデンマークでも、日本と同じ問題を現場では抱えていることもわかりました。まさに現地に赴いたからこそ知ることのできた情報や体験を数えきれないほど得ることができたと思っています。
 また、私がデンマーク教育に興味があると伝えると、多くの方がご好意で、私に素晴らしい機会を与えて下さり、就学前の子どもたち向けのクラスや、高校の授業見学など、大学の実習をとびこえて、個人的に貴重な体験をすることもできました。デンマーク人の心のあたたかさが本当に身にしみました。

    

 大学生活とはうってかわって、後半のフォルケホイスコーレではデンマーク人と寮生活で一日24時間生活をともにすることで、デンマーク語が飛躍的にのびました。最初は簡単な基本会話もできず、落ち込みましたが、ルームメイトが熱心に、どんなに私が話せなくても、私の話を最後まで聞いてくれ、また必ずデンマーク語で私が一度でわからなくても何度も根気よく、言葉を変えて伝えてくれました。最初はなかなかデンマーク語だけでの会話が難しかったのですが、会話ができるようになるにつれて、様々な感情をデンマーク語で共有できるという喜びを味わうことができました。デンマーク語はこの留学経験がきちんと活かせるように、これからも勉学に励み、またいつか友人をはじめお世話になった方々に再会した時は、もっとより多く、そしてより深く、気持ちを共有したいです。

    

    

 私は、留学の一番の醍醐味は、留学にいたるまでの3年間で学び、イメージしていたデンマークとは良い意味で違うリアルなデンマークを体験できることだと感じました。 また、同じ国籍をもつ人が周りにいない中、母国語ではない言葉で、自分の力で新しい環境や人間関係に飛び込んでいくということは、楽しいことばかりではありませんでしたが、広い視野、そして落ち着いた心で物事を見ることができるようになり、新しいものに切り込んでいく度胸が、以前よりも身に付いたと、日本に帰国し、日本での日常生活を送る中で、精神面での成長を実感することができました。卒業まではもちろんのこと、今後も、この経験をしっかり活かせるように、目の前のことに取り組みたいです。