人生が豊かになるヒントをもらった留学生活 土山佳恵(留学時3年生)


 

 
   

【留学先学校名】
・Uldumhøjskole(2015年 8月~2016年 2月)


幸福度の高いデンマーク。そこに住む人々はどんな風に暮らしているのか、どれほど幸福な国なのか、私がデンマーク語専攻に入った理由はこんな興味があったからでした。大学に入り、デンマーク語専攻として多くのことを学ぶにつれ、憧れの感情が膨らみ、念願の留学をした先では多くの困難もありながら、日本にいては決して学ぶことができなかっただろう、デンマーク人の生き方に触れることができました。
 

私が留学先に選んだのは、デンマーク人が大半を占め、授業や伝達事項など全てデンマーク語で行われる学校でした。留学当初は2年間学んできたにも拘わらず、高すぎる言葉の壁を感じ、辛い思いもしました。そんなときに救われたのが、Uldumの先生のやさしさと、シリアから来た難民の友人でした。Uldumの先生は本当に優しくて、どんな些細な困ったことも親身になって聞いてくれ、助けてくれました。これまでにUldumにいた先輩方の話をしてくださり、最初はみんな辛そうだったということを教えてもらって、気が楽になったのをよく覚えています。シリアの友人は、デンマークに来てからデンマーク語を勉強し始めた人が多いため、勉強期間は私と同じくらいの人が多かったこともあり、最も気軽に話すことができる友人でした。そして、彼らのバックグラウンドは私には到底想像もつかないほど悲しい体験をしてきたにも拘わらず、いつでも明るく、陽気で、言葉の壁が高いから消極的でいる私はなんて情けないんだ、と思わせてくれました。

 
さて、タイトルのように、どんなところで人生が豊かになるヒントをもらったのか、についてに戻ります。それは本当に些細な日常生活で感じたことです。デンマーク人は多趣味だなぁと感じました。編み物をしたり、ぬり絵をしたり、ギターを弾いたり、空き時間にはリビングに集まって、各々の趣味を満喫しながらおしゃべりしています。携帯をしながらおしゃべりをする日本の光景とは違うなぁと感じました。そして自分が快適な空間を少々手間がかかっても作り出します。みんなで映画を観よう、となれば、だいたい100%自分の布団や枕を持ってきます。遠いところからわざわざ、面倒じゃないのかなと私は感じていましたが。そして照明も大切にします。夕方、夜になってくると、ろうそくに切り替えたり、イルミネーションで使うような電線を点けたりして、いい感じの雰囲気を作ります。(たまにどっちが雰囲気いいか、もめたりしていました。)そして妥協は一切しません。私の学校では、土日は各寮が担当し、どんな行事をするか決めます。だいたいテーマを決めて行うのですが、私が最も印象に残った、妥協してないなと感じたテーマは、海外旅行というものでした。飛行機に乗ってハワイに行く設定でしたが、この飛行機に乗る場面がものすごく凝っていました。まずリビングにみんな集まって、警備員風の人に身体チェックされた後は、講堂までのわずか10メートルほどの道を車で移動します。そして講堂では飛行機内のようにワゴン(食堂の食器を返すのに使っているもの)でチップスなどのサービスをしてくれます。着いたら来た道とは別ルートを飛行機から降りたときの狭い通路のように作り、ハワイのような飾り付けをしたカフェへと行きました。このように、いかに再現性を高くして、楽しませるかということに関して、本当に妥協がないなと感じました。
 

まだまだ挙げればきりがないのですが、上述したことから、少し、デンマーク人の生き方が見えてきませんか?私なら、そこまでしないな、と思いながらも、デンマーク人の真似をしてみると、少しの手間だけで快適さは何倍にもなると体感しました。こういう風に生きていれば、幸せを感じやすいのかなぁと思うようになりました。

 
経済的な事情から半年間しかデンマークにはいることができませんでしたが、本当に多くのことを学び、経験することができました。(ノルウェーの遠足ではラフティングや乗馬をして死にかける経験もしました。)私にとってこの半年間は言語が上達した、デンマークの文化に触れられたことよりも、人生一度きり、幸せに生きるためにどうすればいいのか、デンマーク人と過ごすことで考えるようになったことのほうが、この留学生活を振り返るなかで大きなものとなっているように思います。


最後にこれから留学に行かれる方へ。留学中は慣れてくるとその日々が当たり前になってきますが、振り返るといかに非日常でかけがえのないものだったのか痛感します。辛いときももちろんありますが、貴重な留学生活、前向きに楽しく過ごしてください!