「かけがえのない宝物」           鈴木 彩花(留学時3年生)

【留学先学校名】
・南デンマーク大学(Syddansk Universitet)(2018年8月~9月)
・Uldum Højskole(2019年9月~2020年5月)


(同じフロアで生活していたメンバーと集合写真を撮りました)


 こんにちは、デンマーク語専攻3年の鈴木彩花です。私は2年生の夏休みの約1ヶ月間、政府奨学金を利用して南デンマーク大学に、3年生の9月から1年休学して約8か月間Uldum Højskoleに留学しました。入学当初から留学をしたいという思いがありましたが、まさか2度も留学できるなんて思ってもいませんでした。私は3年生でフォルケホイスコーレに留学すると決めていたので、2年生では大学に留学することに決めました。

 「本当の留学は来年だから」と軽い気持ちで参加したサマーコースでしたが、得られるものがたくさんありました。サマーコースには、私のように大学でデンマーク語を勉強していて流暢に話せる人から全く話せない人まで様々なレベルの人がいました。デンマーク語が母国語でない人が流暢にデンマーク語を操っている姿を目の当たりにし、もっと頑張らないといけないんだとデンマーク語に対するモチベーションが上がったことを覚えています。2年生という比較的早い段階で短期留学を経験し、よりモチベーションを高めることができたことは本当に良かったと思います。

 3年生になると本格的にフォルケホイスコーレを探し始めました。私が学校を選ぶ際に重要視したことが、科目としてデンマーク語が開講されていること、デンマーク語以外の授業もデンマーク語で行われていることの2点でした。デンマーク人は英語が堪能です。そのため留学生のために英語で授業を行う学校や、留学生が多いと日常的に英語を使う機会が増えてしまう学校もあると聞いていました。しかし、「長期間留学するんだったら、どっぷりとデンマーク語につかりたい」という思いが強くありました。また長期留学する大半の人は2校の学校に留学することが多いのですが、手続きが面倒だったので1校で長期留学することにしました。そんな中出会った学校がUldum Højskoleでした。詳細は学校のホームページやインスタグラムを見てください。

 学校に到着すると、思っていた以上に皆が温かく出迎えてくれてとても嬉しかったことを覚えています。デンマークでの自分の居場所が見つかったような気分でした。しかし、晴れ晴れとした気分だったのはほんのわずかな時間でした。学校でのルールや過ごし方についての最初のオリエンテーションでどん底の気分を味わいました。日本の授業ではネイティブの先生が話していることもほとんど理解できていたのに、何も聞き取ることができなかったのです。今まで過ごしてきた2年半の大学生活の中で何を勉強してきたのだろう、と自分を責めることもありました。また日本人が私だけだったので頼れる人も誰もいませんでした。そんな状況の中、私を支えてくれたのは2人のルームメイトでした。日本では分からない素振りをしていれば、自然と誰かが助けてくれます。しかし、デンマークでは違いました。自分から「分からない」と言わない限り誰も助けてくれません。私は1から100まで何もかもルームメイトに尋ね、彼女たちが何かすると言えば内容が分からなくてもずっと行動を共にしていました。そうしているうちに次第に彼女たちとの仲が深まっていきました。夜は一緒にお話しをしたり、ドキュメンタリー番組を見たりしました。またクリスマスにはJulekalender(アドベント・カレンダー)をプレゼントしてくれました。留学を始めて2、3ヶ月経った頃には語学力も向上し、先生の指示も聞き取れるようになっていました。ルームメイトからも先生からも「デンマーク語上手になったね。」と言われた時は、嬉しかったのはもちろんのこと自信にもつながりました。


(9月から12月のメンバー全員との集合写真)


(コーラスの授業で歌を披露するために近くのショッピングモールへ行きました)


 1月からはメンバーが変わり、新しいルームメイトがやってきました。夜は必ず15分程度お話をすることに決め、お互いの文化や教育について話したりしました。しかし、その日は突然やってきました。順調よく留学生活を送っていた3月、コロナウイルスが流行し学校が閉鎖されました。それと同時にデンマーク人は各家庭に一時帰宅となり、学校に残ったのは留学生だけでした。「せっかく留学に来ているのにどうして?」とやるせない気持ちでいっぱいでした。しかし「残された留学生活はあと3ヶ月しかないから、1分でも1秒でも有意義な時間を過ごそう」と自分を鼓舞しました。今から考えると、学校が閉鎖され非日常的な日々が続いたからこそ学べたことがたくさんあると思います。


(イースターの時、皆で折り紙のてんとう虫やイースターエッグを作りました)


 約8か月間の留学は決して楽しいことばかりではありませんでした。むしろ辛いことの方が多かった気がします。しかし、その中での楽しい経験はいつも以上に楽しい経験として記憶に残ります。そして何より留学は、自分自身を大いに成長させることができると思います。コロナウイルスが少しでも早く収束し、自由に留学できる日がやってくることを願っています。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。