コペンハーゲン大学での学び        野澤知亜(留学時3年生)

          写真1 キャンパス
                 
【留学先学校名】
・コペンハーゲン大学(2016年 9月 ~ 2017年 6月)


 私は、約10か月間コペンハーゲン大学(以下コペン大)の社会科学部に留学をしていました。特に社会学の分野でジェンダー・セクシュアリティを中心に授業を取っていました。海外大学院進学を考えていたため、ジェンダー・セクシュアリティの分野で先進的であるデンマークで約1年間しっかりと学び、知識を深めたいと考えていたので、大学間交換留学を利用しました。

大学生活について
 コペン大には4つのキャンパスがあるのですが、私は社会科学部が集まるthe Centre of Health and Society (CSS)キャンパスと人文学部が集まるKøbenhavn universitet Amager(KUA)キャンパスで授業を受けていました。授業は英語またはデンマーク語で開講されておりどちらでも受講する事が出来ました。コペン大には、春学期と秋学期の二学期制で、一セメスターに大体3~5個のクラスを取ることが出来ます。大阪大学に比べると、授業数が少なくて簡単そうと思われるかもしれませんが、一つ一つの授業に出される予習課題も多く、授業内で教授に意見を求められる場面や、ディスカッションをすることが多いので土日もその課題に費やすことがほとんどでした。もちろん大変ではありましたが、最先端の研究をしていらっしゃる教授から新たなアイディアや知識を沢山得る事が学ぶことができ、毎日が刺激的で新鮮でした。

 特に印象に残っている授業は、2つあります。1つ目は、『Danish Culture Courseジェンダー・セクシュアリティ』という留学生用の授業です。この授業は、人文学部下で開講されていたのですが、北欧のジェンダー・セクシュアリティの歴史を初期から現代まで詳細に学ぶことが出来ました。現在では、そのような問題において、デンマークをはじめとする北欧の国々は先進的ですが、授業では、そのような状態に至るまでどのように改革を進めてきた過程を理解することが出来ました。期末試験では、日本とデンマークにおけるHIV/AIDS対策とホモセクシュアル差別について取り上げ、エッセイを書きました。デンマークの政策や歴史を学ぶ事により、改めて日本の劣っている/優れている点を再確認し、日本にいる際に抱いていた疑問や違和感をより明確に具体化することが出来ました。2つ目は、組織社会学という授業です。これは簡単に説明すると、日々変化する組織に対し、概念枠組を提供する学問です。この授業の中で、オフィスの形態と組織の関係について学ぶために、デンマークのGentofteと呼ばれる自治体の市役所を訪れました。その市役所は、上司や部下と役職によって部屋が区切られておらず、職員のみんながフラットに働いていました。その市役所では、上司・部下のような上下関係や部署などで区切らず、組織として効率化を図ろうという取り組みをしていました。日本ではあまり聞いたことのない例だったのでとても興味深く見学をしました。コペンハーゲン大学の授業は、ほとんどが授業と課外活動がセットになっており、学んだ理論を実際の例に当てはめてみるという構造になっています。



課外活動について
 留学してまもなくして、留学生ビザは週20時間まで働くことが出来たので私は、コペンハーゲンにある日本食レストランで働き始めました。デンマークに移民してきて5年目の中国人、正規留学生のベトナム人など様々な境遇の人が働いていて、国際的な職場でした。働き始めた理由は、デンマークの税金のシステムがどのようなものか実際に働いて見て知りたかったからです。働いて見ると、それがいかに外国人にとって複雑なシステムなのかと痛感させられました。この他にも、週末は友達と遊びに出かけたり、ボランティアなどをしたり、充実した毎日を送っていました。

まとめ
 全く同じデンマークの教育システムや年金のシステムを導入することは困難ではありますが、日本がデンマークから学べる事はまだまだ沢山あるなと強く感じました。同時に今まではデンマークの良い面しか見えていなかったのですが、長期留学をすることでデンマークが抱える課題も同時に認識することが出来ました。今後、ゼミや卒業論文に取り組んでいく過程で改めて留学で得たものを咀嚼し、インプットしていけたらいいなと思っています。これら留学に行く皆さんは、デンマーク留学を充実させられるよう、色々な方からアドバイスをもらうことをお勧めします。