留学体験談 コペンハーゲン大学留学記 小西康介(留学時4年生)
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【留学先学校名】
・Københavns Universitet (2013年9月~2014年6月)
僕は2013年の9月から約9ヶ月間、デンマーク政府奨学金制度を利用してコペンハーゲン大学に留学してきました。実はこの留学、私にとって2度目の留学で、1度目は英語を習得すべくイギリスの語学学校へ留学していました。この度のデンマーク留学の目的はもちろんデンマーク語の習得もですが、ゼミで研究しているテーマを掘り下げ、実際に生活することでその実態を探ろうというところにありました。
—勉学
大阪大学では社会ゼミに所属しているので、コペンハーゲン大学では社会科学部を選びました。その中でも社会学科と人類学科(≒民俗学)の授業を受けていました。授業は90分制なのですが、途中休憩15分を挟むので集中しやすく、時間が経つのも速く感じました。休憩時間には学生達はコーヒーを求めてカフェへ集まっていました。
授業の内容ですが、主にデンマーク社会・移民問題・民族性などを扱ったものを選択していました。だいたい週3〜5コマくらいで、日本の授業と比較すると少ないと思えるかもしれません。しかし、授業は莫大な予習のリーディングを前提として行われるので、3コマでも十分多忙な日々を送っていました。1つの授業に対して、英文70ページ前後のリーディング、期末試験には15枚程のレポートが課されます。また、基本的に留学生向けの授業は英語で行われます。デンマーク語で行われる授業も選択可能ですが、当時のデンマーク語力では到底ついて行けないと判断し、受講はしませんでした。授業はデンマークらしいディスカッションスタイルが多く、なんとなく受け身で聞いていると不意に、「日本の場合はどうなの?」と言った質問を投げかけられることもありました。世界中から意欲の高い学生達が集まっており刺激的で、そういう考え方もあるのか、と学ぶことも多くありました。専門科目の他、英語の論文講座や外国人のためのデンマーク語の授業もとっていました。
大学の他にも、週3でデンマーク語の語学学校にも通っていました。こちらは,住民登録後に得られるCPRナンバーを持っていれば無料で通うことができます。ここは学生よりも、デンマーク人と結婚して移民してきた人や、仕事で来ている人が多く、年齢層も若干高めでした。先生と生徒の距離も近く、先生宅にお呼ばれしてディナーをするということもありました。みんながデンマーク語の習得という同じ目的で来ているので仲良くなりやすく、ここでも友達をたくさん作れました。
—住居
僕はデンマーク政府奨学金の結果が遅く、結果が出たころには学生寮はいっぱいで、大学に住居を用意してもらえませんでした。というのもコペンハーゲンは深刻な宿不足が社会問題にもなっています。入学時期には宿がなく、ホステルに滞在している学生や、宿が無いので留学を諦めて帰国してしまうといったケースも聞いたことがあります。僕の場合、幸い友人に宿を貸しているデンマーク人を紹介してもらい、宿を確保することができました。そこには最初の2ヶ月間滞在し、その後はホームステイ先を見つけたのでそこへ移り、帰国までの残り7ヶ月間をデンマーク人の家族と過ごしました。子供も多く賑やかな家庭で、イベントに一緒に参加したり、温かく迎えていただきました。 少人数で深く密接な付き合いのできるシェアハウス、同い年の学生達と広く楽しくわいわい交流できる寮、デンマーク人の本当の家族の生活を体験できるホームステイと、様々なタイプがありますが、自分のスタイルに適しているかが一番重要だと感じました。
—その他
もちろん試験前には毎日忙しく大変でしたが、基本的に土日は(課題さえ平日に終わらせていれば)フリーでした。週末は友人達とパブへ出かけたり、大学や町のイベントに参加したり、自転車でビーチまで足をのばしたり、と思い思いに過ごしていました。時にはUngdomsskoleと言われる学校で子供達に日本語を教えるアルバイトにも参加しました。また長期の休暇の際には、フィンランドやノルウェー、バルト三国に足を伸ばして旅行にも行きました。週末だけでスウェーデンやドイツに旅行に行くのも十分可能で、ヨーロッパに留学する魅力の一つでもあります。
天気の悪い日が多く、15時ごろには暗くなる憂鬱なデンマークの冬には、一週間で一度しか太陽を見ないという厳しい時もありました。なので、デンマーク人にとって太陽は非常に大切な存在で、晴れた日には人口の少ない小国とは思わせない程の人が町中で日光浴を楽しみます。日本ではむしろ嫌われ役の太陽ですが、僕もデンマークで初めて太陽のありがたさに気づき、留学後半は磁石のように太陽に引きつけられていました。
—おわりに
以上デンマークでの生活について簡単に紹介してきましたが、最後に留学を検討している人へアドバイスを書いて終えたいと思います。よく、留学に行くことを目的にして、なんとなく留学し、気づけば期間を終えて帰ってきたという人がよくいます。もちろん留学へ行くこと自体大きなことで、語学を始め新たな価値観など、学ぶことはあると思います。しかし、僕はそれで終わるのは、せっかく多額の資金、時間を使って行くにはもったいないと思います。留学はあくまでも目的ではなく、通過点に過ぎないので、留学へ行きそこで何がしたいか、何を得たいかを具体的に考えていくことが、留学を成功させる秘訣だと2度の留学を経て確信しています。せっかく夢見た留学、ただの楽しい思い出で終わらせず、様々なことに主体的に取り組んで、自分の誇れるものを得てきてください。