留学体験談 「フォルケホイスコーレへの留学」 近藤 聖希子(留学時3年生)
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【留学先学校名】
・ Hadsten Højskole (2012年8月~ 2012年12月)
・ Engelsholm Højskole (2013年1月~2013年6月)
私は2012年8月から2013年6月までの約11ヶ月間、デンマークのフォルケホイスコーレに留学していました。留学の目的はデンマーク語の上達でしたが留学中の約1年間で、語学力以上に大切なものを得られたと感じています。
海外経験が非常に乏しく、生まれてからずっと実家暮らしで一人暮らしをしたことのなかった私にとってデンマークへの留学は大学に入学する前からの大きな憧れでした。そのため留学に行く直前まで不安はさほど大きくなく、来る1年への期待が心の大部分を占めていました。しかしいざデンマークに到着し、学校に着いてみると自分の語学力のなさに愕然としました。相手の話していることが聞き取れない、自分の言いたいことを言葉にできない・・・心にあった期待は一瞬にしてこれからの生活への不安に変わりました。さらに間違った言葉を話すことを恐れ、何度も聞き返したら申し訳ないという気持ちから、分からなくても愛想笑いでごまかすという癖をつけてしまいました。そんなことをしていて語学力が伸びるはずもなく、初めの頃は、私は何しにきたのだろうと悩む日々が続きました。しかし学校で唯一の日本人であったこと、デンマークではあまり日本に馴染みがないことからなのか、あまり上手く話すことができない私に、興味を持って話しかけてきてくれる子たちがいて、そんな子たちと言葉を交わすうちに本当に少しずつ少しずつ、言葉が聞き取れるようになり、話せるようになっていきました。自分から積極的になれなかった私にどんどん話しかけてきてくれた子たちには本当に感謝しています。
どちらの学校も、デンマーク人が生徒の大部分を占めていたのですが、その他に様々な国から留学生が来ていました。私が留学期間中に出会ったのはポーランド、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、アイスランド、ドイツ、ベネズエラ、アメリカ、カナダ、ジンバブエなどの国々からきた留学生で、様々な国から来た人と会話するというのは本当に興味深いものでした。彼らとの会話のなかで日本との違いに驚愕することも多々ありましたし、逆に日本のことを話して驚かれることも何度もありました。日本のテレビで見てきた世界と実際に話を聞いて知る世界とのギャップがとても大きく、自分が狭い世界で生きていたことを痛感しました。デンマークについて大学で2年半学んできていても、実際に住んでみて、デンマーク人の話を聞くとそれまでデンマークに対して持っていた認識と違うこともたくさんありました。このような異文化交流は本当に楽しく、もっと彼らのことを知りたい、話したいという気持ちは語学習得のモチベーションになっていたと思います。
1つ目に選んだ学校は様々な科目を浅く広く学ぶ、というタイプの学校だったのですが、2つ目の学校は、芸術や音楽に特化した学校を選びました。特に以前から興味や知識があった訳ではないのですが、何か日本ではなかなかできないようなことをしてみたいと思い、私はジュエリーの作り方を学ぶコースを選びました。この学校ではジュエリーのほかに、絵画、ガラス、陶芸、写真、ソングライティング、エレクトロニック音楽を学ぶコースがあり、私のようにほとんど知識のない人や、真剣にその道に進もうと考えている人、大学ですでに芸術を学んできた人などレベルも様々でした。この学校では常に芸術に触れていたと思います。毎週のように生徒や外部から招かれたアーティストによるコンサートや公演が開かれたりコーヒーを飲みながら作品を見せ合う機会が設けられていたり、美術館へ連れて行ってもらったり・・・と様々な芸術に触れる機会が非常にたくさんあり、半年間本当に贅沢な時間を過ごすことができました。
デンマークでの一年間は本当に初めてのことばかりでした。文化の違いや言葉の壁に苛立ち、嫌になったこともありましたが、今留学生活を振り返って楽しかったと自信を持っていえるのは、たくさんの優しく、親切な人との出会いがあったからだと思います。デンマークで経験した全てのことは私の一生の財産です。