デンマークのフォルケに留学しよう           勝矢博子(留学時4年生)


     <休日にフュン島のKolding Husで>

【留学先学校名】
・Højskolen Skærgården(2018年 8月 ~ 12月)


 私は4年次に約5か月間、Højskolen Skærgårdenというフォルケホイスコーレに私費で留学していました。ユトランド半島のちょうど真ん中にあるHerningという町にある学校です。3年生で留学するのが一般的ですが、3年間の部活動を引退してから留学したかったため4年生で留学しました。今となってはこの理由はどうかとは思いますが(笑)、デンマーク語の学習がより進んだ状態で行けたことはプラスに働いたので、結果的にはこれでよかったと思います。

 さてフォルケホイスコーレ探しはHøjskolen.comというサイトを通して行いました。私は以下3つの点にこだわって選びました。

①授業がデンマーク語のみで行われること。英語を使わない環境に身を置くことでデンマーク語力のみの向上を図りたかったためです。当時は私が留学した学校を含め3校がデンマーク語のみで授業を行っていたように思います。

②生徒の年齢層が高いこと。Højskolen Skærgårdenは生徒の年齢層が40・50~60代が中心と高めです。私自身は若者でありながら、若者のパーティー文化に苦手意識を持っており、年配の人々と関わるほうが好きだったためこのような視点から選びました。行ってみると年齢差のおかげもあり、みんな娘や孫のようにかわいがってくれてありがたかったです。

③3点目は立地と開講期間です。ユトランド半島の真ん中というほどほどの田舎で、短すぎず長すぎない滞在をしたいという希望にマッチしました。以上のように個人の個性と好みに合わせて選択し、留学を作り上げていける点は私費でフォルケに留学する際の魅力の一つだと感じます。

 ところで他のフォルケが若者中心にもかかわらず、なぜこの学校は中年あるいは定年退職者が多く集まっていたのか不思議に思われませんか?私自身その理由をいまいち理解しないまま留学を決め、現地で衝撃を受けたのですが、なんとこの学校は肥満やうつ病などを抱えた人々が、体重を落とし心身の健康を回復するための学校だったのでした。年齢も若く心身ともに健康だった私は、なぜこの学校に来たのかとよく訝しがられましたが、みんな快く受け入れてくれました。というわけで同級生たちが行ったフォルケとは毛色が異なる学校でしたが、年配の人々とのんびりした毎日を過ごし、太ることもなくより健康になって帰ってくることができました。

 ここで英語でも留学できるデンマークに、あえてデンマーク語を学習したうえで留学してよかったことについて触れておきます。まず、デンマーク人に大変喜んでもらえます。小さな国のどちらかというとマイナーな言語を、あえて学習している外国人がいるということが彼らにとってはよほど嬉しいようです。デンマーク語が少しできるというだけでこんなにもかわいがってもらえるのかと大変驚きました。またデンマーク語を話せたことで、友人らから人生の深い話を打ち明けてもらうことができたように思います。離婚や再婚といった重大な悩みの相談を受けることもあり、その人の人生やデンマークの制度を詳しく知ることができました。英語のみでデンマークに留学したことがないので断言はできませんが、私がデンマーク語を話すのでなければ一体このような話を聞かせてもらうことはあっただろうか、おそらくなかったのではないかと想像します。

 さて、今では帰国してから大分時間がたってしまいましたが、留学中に得られた語学力や経験・気づきが今の自分の支えになっていることを実感します。またどこまでも自分の気持ちに正直で、何に対しても寛容なデンマーク人たちの生き方を目の当たりにしたことで、視野が大変広がったように感じます。私の中の「人生いついつまでに~~しなきゃ」「~~にならなきゃ」などという縛りが、良い意味ですっかり吹き飛ばされてしまいました。また、高齢になってからもフォルケに入学し、生活習慣改善のために新しいことに次々と取り組む仲間の姿を見て、いくつになっても新しいことは始められるものだと思いました。なのでこれを読んでくださっている方が何歳であっても、もし少しでも興味を持たれたのであれば、まだ早いとかもう遅いとか、そういうことは一旦置いて、留学されてみることをお勧めいたします。



     <誕生日に寮で友達の子どもとパチリ。>



     <友人宅でのクリスマスの様子>