「大好きなデンマーク」 石川 まりえ(留学時3年生)
・Højskole Østersøen(2018年9月)
・Rønshoved højskole(2019年9月~2020年6月)
私はユトランド半島南部にあるRønshoved Højskoleにおよそ10か月留学していました。
〈2018年夏〉
留学に行く一年前の大学2年生の夏休み、長期で留学する前にデンマークがどんな国か見ておきたい、フォルケがどんなところかちょっと見ておきたいと思い、旅行もかねて、Højskolen Østersøenという(今はもうなくなってしまったのですが)、これまたユトランド半島南部にあるフォルケホイスコーレのショートコースに参加しました。だいたいどこのフォルケでもそうだと思うのですが、これらの夏に開催される1週間ほどのショートコースは実は、基本的におじいちゃんおばあちゃん達が参加するもので、この学校の前にアプライした学校の日本人のスタッフの方から、そのことを教えていただくまで私はそのことを知りませんでした。年齢が同じくらいの人とは出会えないことがわかってもどうしてもデンマークには行ってみたかったので、実際にデンマーク人のおじいちゃんおばあちゃんだらけのショートコースに自分でアプライして参加しました。
デンマーク語専攻の先生が座学だけのコースよりも、スポーツや料理、創作系など体や手を使ってできるコースを薦めてくださっていたこともあり、おじいちゃんおばあちゃんと一緒だから余裕だろうとハイキングのコースを選びましたが、そこはさすがバイキングの血を引いていると自分たちで言うだけのことはある、かなりタフでした(笑) それなりにスポーツもしてきた当時20歳がクタクタになっている横で、デンマーク人のおじいちゃんおばあちゃんはピンピンして紅茶やコーヒーを飲みながらhyggeしていました。そんな初めてのデンマーク体験でしたが、若者ほどには英語を話さないおじいちゃんおばあちゃんとの会話は基本的にデンマーク語で、大学のネイティブの先生以外の人と拙いながらもデンマーク語で話すことができたことはやっぱりとてもうれしかったです。そうして人生で初めてのヨーロッパ、デンマークでの滞在はいいものになり、長期の留学に行きたいという気持ちが確かなものになりました。
〈2019-2020〉
3年の夏休みから行くことは決めていたものの、部活のリーグ戦を終わらせてから行きたかったので、学校選びはできるだけ9月後半から始められることを軸にしていました。欲張りですね(笑)多くの学校、コースが8月に始まる中、9月の下旬に始められることと海辺で景色がきれいそうであること、スポーツもクリエイティブ系の科目も座学も幅広くカバーしているという理由で学校を決めました。余談ですが、実はこの学校は前述した、ショートコースはおじいちゃんおばあちゃんばっかりだよと教えてくれた学校だったと後から気づきました(笑)
一年前に来ていたこともあり、デンマークについてもフォルケについてもだいたいこんな感じだろうということはわかっていたものの、同じ年代でも日本語が通じない人たちとの生活に慣れるにはやはり時間がかかりました。コース自体は8月から始めていた人がほとんどだったので、すでに5週間過ごして出来上がっている輪に入っていくというのは難しく、当初は「このメンバーとあと3か月も過ごすのかあ」と滅入っていたというのが本音です。後から聞いてみれば、同じタイミングで来たデンマーク人の友達でも同じことを感じていたみたいなのでそこはやっぱりしょうがないことなのかなと思います。だからこそまずは、同じタイミングで来た子たちが仲良くなりやすかったし、馴染んできて他の子たちと打ち解けてからも、留学が全部終わった後に会いに行きたいなと思った子はそういう子だったりします。
そんなこんなで最初は苦労しましたが、何せ一緒に学校に住んでいるので一日一日の密度が日本よりも濃いというのは確かです。幸か不幸か私はずっと1人部屋だったので(個人的にはよかったです)、ルーミーはいませんでしたが、一人になるのは本当に寝るときくらいで、それ以外の時間は授業がないときでもだれかと喋ったり散歩に行ったり映画を見たり、ごはんはもちろんみんなで食べるし、給食当番の役割も回ってくるし、週に1回フロアごとにみんなで掃除もします。水曜日の午後にあるミーティングで週末のアクティビティの提案を募って、週末はそれに参加するもよし、のんびりするもよし。土曜日の夜は学校内にあるバーがオープンしてパーティです。日曜日は午後からバレーボールをやるのが恒例になっていて、夏には外でほぼ毎日男の子たちはサッカーをしていてやっぱりスポーツはいいなあ、仲良くなれるなあと感じました。本当に毎日楽しかったです。
〈秋セメスターのバレーボールクラスのメンバーです。デンマーク人も含め、ほとんどみんな初心者でしたが、オフィシャルな授業後や毎週日曜日に集まってやるほど熱中して、どんどん上達しました!〉
〈2月のアテネへのスクールトリップでは、5日間のうち自由時間もたくさんあり、夕食代がもらえるので、夜はみんなでギュロスやシーフードなどおいしいギリシャ料理を食べに行きました。コロナの影響で、5月と6月に行くはずだったスクールトリップはなくなってしまったのですが、コロナの影響を受けるギリギリ前にアテネには行けてよかったです(^^)〉
さて、前例のなかったこととして挙げられるのはやっぱりコロナですね。それに関しても私はデンマークを選んで本当によかったと思います。もちろんデンマークでも感染者は出ましたが、他のヨーロッパ地域やアメリカに比べれば少なく、フォルケはかなりの田舎にあるのでコロナにかかるかもという不安はほとんどありませんでした。それでも3月半ばから結局2か月半ほど学校は閉鎖して、デンマーク人の生徒たちは家に帰らなければなりませんでした。デンマーク人たちとの2か月半を失ってしまったことはとても残念でしたが、その分学校に残ったインターナショナルの生徒たちとより仲良くなることができたので結果的にはよかったと思います。今思うと、デンマークがどのような対応をとるのか実際に現地で見ることができたし、日本で1人家に籠るのに比べればはるかに楽しいコロナタイムを送っていました。
〈2か月半、学校が閉鎖している間一緒に過ごしたインターナショナルの生徒です。春セメスターには日本、ハンガリー、南アフリカ、グリーンランド、エクアドルから来た生徒がいました。この間に真ん中で王冠をつけている南アフリカの男の子が誕生日を迎えたので、みんなでプレゼントや飾り付けを準備してサプライズバースデーパーティーをしました。すごく喜んでくれました(^^)〉
私の滞在していた学校は、デンマーク語だけではなく英語の授業も多くて、インターナショナルの生徒の中でも、私とエクアドル人の男の子以外でデンマーク語を勉強している人はいなかったので英語が公用語になる機会も多く、そこまで24時間デンマーク語漬けという生活ではありませんでした。それでも私のデンマーク語上達を応援してくれる友達はたくさんいたし、一人一回は必ずやることになっている自由なプレゼンテーションもデンマーク語で挑戦してみんなにすごく喜んでもらえました。
デンマーク留学を通して、やっぱりデンマーク語を選んでよかったなあと思うし、それ以上に、インターナショナルの友達も含めて、帰国後にも連絡を取り続けたり、また会いに行きたいと思えるような存在ができたことが一番の財産だと思っています。
これからデンマークに行こうと考えている皆さんにもそんな素敵な出会いがありますように(^^)
〈私が滞在していたのは海のそばの学校で、夏になるとこのように橋がかけられます。夏は特に(冬でも走ったあとには)ここから飛び込む生徒がたくさんいます。私も挑戦しましたが、思ったよりも深かったのと藻だらけであんまり水はきれいじゃなかったです(笑)でもデンマーク文化を体験するためにも一回はダイブしてみることをおすすめします!写真には写っていないのですが、このすぐ手前側には焚火ができるスペースがあって、春夏はよくみんなで火を囲んでHyggeしていました。〉