「コペンハーゲン大学への留学」 今石茉那(留学時3年生)
<コペンハーゲン大学サウスキャンパス>
【留学先学校名】
・コペンハーゲン大学(2017年 9月 ~ 2018年 6月)
私はデンマーク政府奨学金を取得して、10ヶ月間デンマークのコペンハーゲン大学に留学していました。私が留学を決めたのは、北欧神話とデンマーク語をより深く学び、また異国の地での生活を通して新しい価値観を吸収したいと思ったからです。
大学では人文学部に所属し、デンマーク語の授業と、デンマーク文化コースの北欧神話・デンマーク文化・デンマーク映画・キルケゴールについての英語で行われる授業を取りました。留学生が受けられるようなデンマーク語の授業が少なかったため、主に英語で授業を受けることになりました。デンマーク文化コースの授業では、遠足でさまざまなところに連れて行ってもらえ、自分の研究分野に関する土地やデンマークにとって重要な場所を訪れることができ、とても興味深かったです。大学は自由度が高い反面、課題が出され、さらに政府奨学金取得者は単位を落とすことが許されなかったので、レポート提出前は特に必死でした。
<遠足で行ったフレゼリクスボー城>
私は留学前に、コペンハーゲン大学で北欧神話などを研究する先生と連絡を取り、指導員になっていただきました。現地で実際に会うと、親身にアドバイスをくださり、北欧神話に関するデンマーク文学をいくつか紹介してくださいました。そのおかげで、卒業論文で扱いたい本と出会うことができました。
春からは、希望するレベルのデンマーク語の授業が大学で開講されなかったため、語学学校に通い、デンマーク語を学びました。無料で受講できたのですが、7月からは有料になってしまったようです。語学学校では、デンマーク人と結婚して移住した人や、デンマークで仕事を得たい人など、さまざまな年代の、さまざまな国籍の人が一緒に学んでいました。
授業時間外では、大学のスポーツ団体のフェンシングチームに参加し、週1回デンマーク人たちとフェンシングをしつつ交流できました。多くのデンマーク人が私に英語で話しかけてくる中、フェンシングチームの数人が、私がデンマーク語を学びたいことを理解し、デンマーク語で話しかけてくれたことはとても有難かったです。
<ヴァイキングセンターで行われた迫力満点のヴァイキングショー>
休みの日は、街中で開催されるさまざまなイベントに参加したり、チボリ公園や美術館に何度も足を運んだり、またデンマーク国内外に旅行に出かけるなど、充実した私生活を送ることができました。また、北欧神話はヴァイキングが信仰していた宗教であるため、ヴァイキングセンターやヴァイキングマーケットを訪れて、研究分野の世界観に触れられたのも貴重な体験でした。
私が住んでいた寮は少し特殊で、月曜日から木曜日までの夕食と土日の朝食が家賃に含まれていました。夕食は寮生が調理か片付けに週に2回参加することになっていました。そこで、他の学生たちと必然的に交流ができたため、引っ込み思案の私にとっては有難い機会でした。しかし、寮にはデンマーク人は住んでおらず、留学生ばかりだったので、ほぼ英語を使うことになりました。さらに、日本人留学生も多くいて、日本語を話す機会も多かったのですが、困ったときに協力しあえることは心強かったです。
英語を理解するのに苦戦し、会話の輪に入れないことも多々ありましたが、世界中の同年代の学生たちと一緒に映画を観たり、パーティーをしたり、ビーチに行ったりするのはとても楽しかったです。大学や寮ではほぼ英語で、デンマーク語を使う機会が少なかったのも事実ですが、英語力も同様に向上させることができるのは大学留学ならではだと思います。
気候の話をしておくと、デンマークは9月頃からすでに寒く、さらに緯度が高いので冬はとても日が短かったです。私が留学した年は、途中までは日本の冬ほどの寒さでしたが、2月の末から突然気温が下がり、あらゆる水場が凍りました。その上で飛び跳ねることができるほどカチカチに凍っていて、子どもたちは凍った湖の上でそり遊びをしていました。海岸付近の海も凍るほどで、厳しい寒さでした。その分、春が来たときの感動はひとしおです。輝く新緑が本当に美しかったです。夏至に近づくにつれて、だんだん日が長くなっていき、夜9時でもまだ明るく、太陽が沈んでも空の端はうっすら明るいままでした。夜になったことに気付かないので、時間の感覚が狂うこともありました。たくさんの人が芝生の上に座ってピクニックをして、心地いい季節を楽しんでいました。日本とは全く違う自然を体験することができた一年でした。
<凍てつくニューハウン>
海外にただ旅行するのではなく、実際に住んでその国の一員になるのは、内側からその国の良さも問題点も見られるチャンスなので、デンマークでの留学経験はとても貴重だったと思います。もちろん、つらいことや苦しいこともたくさんありました。やり残したことや反省もあります。しかし、それ以上に得たものがあると感じています。どのような体験をするかは自分次第だと強く思いました。デンマークでの経験すべてがこれからの人生の糧になっています。
<春が来て、花が咲いたローゼンボー城のお庭>