政府奨学金による大学留学とインターン体験 福井尚之(留学時3年生)
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【留学先学校名】
・オーフース大学 (2011年8月~2012年5月)
【インターン】
・北欧専門旅行会社 (2012年5月~2012年7月)
1. 初めに
僕は、デンマーク政府が出している政府奨学金を利用し、2011年の8月から2012年の5月までデンマークのオーフース大学の北欧語学科へ留学しました。その後、2012年5月から8月まで北欧旅行を中心にトラベルネットワークを展開する北欧専門旅行会社でインターンとして働く機会を得ました。
2. 大学での生活 〜授業編〜
オーフース大学では、デンマーク人がデンマーク語を勉強する、日本で言うところの国文学科のような学部の一年生向けの授業を取っていました。日本では言語ゼミに所属しているので、大学でもデンマーク語の単語の形について見ていく形態論やデンマーク語の語順や文構造を分析する統語論の授業に出ていました。もちろん授業は全てデンマーク語で行われます。最初のうちは、言語学用語を理解できなかったり、先生と学生の間を飛び交うデンマーク語が理解できず、ただただ座って時間を過ごす日々が続きましたが、1学期が終わる頃には授業の枠組みが少しだけ把握できるようになっていました。
デンマーク語を2年半勉強したにも関わらず、理解できないことに落ち込むこともありましたが、考え方をポジティブな方向に切り替えて「こんなにも理解できるようになったんだ」と思うようにして乗り切りました。2011年の11月には学科の友達とルンド大学への研修旅行へ参加させてもらい、その時の友人が日本の文化に興味を持ってくれて、研究を兼ねて日本を訪れてくれたことは忘れられない一生の思い出です。
3. 大学での生活 〜授業外編〜
授業以外で何をしていたのか。多くの時間は、オーフース大学に設置されている日本語学科のデンマーク人たちと過ごしていたと言っても過言ではありません。デンマーク語を専攻する日本人である僕と日本語を専攻するデンマーク人。僕はデンマーク語で日本語を教え、彼らにはデンマーク人がよく使うデンマーク語の表現をたくさん教えてもらいました。
デンマーク語専攻である僕にとって最高の環境であったと今になってもそう思います。
授業外ではオーフース大学に隣接するStatsbiblioteketをフル活用しました。専攻するデンマーク語学・北欧語学の本はもちろん、日本語からデンマーク語に翻訳されている小説などを読んだりしていました。もちろん利用するのもCPRナンバー(国民背番号)を持っていれば無料です。僕の住んでいた寮は大学のそばにあったので、幸い毎日のように利用することができました。
4. 大学での生活 〜お買い物編〜
「デンマークに留学をしていました」と言うと、よく聞かれるのが「デンマークって物価が高いんでしょう?」という質問です。答えは「ノーです」フォルケホイスコーレとは違い、ご飯を自分で準備する必要があったので、1年間毎日のようにデンマーク語の勉強も兼ねてスーパーへ出かけていました。日本人が想像するほど物価は高くありません。むしろ、毎日の生活に必要なものや主食のパンやパスタ、果物は日本よりも安いと感じられるものもありました。日本でも質素な(?)生活をしていた僕にとっては全くもって問題ありませんでした。
デンマークで高いなと感じたのは本です。大学で必要だった教科書はもちろん、本屋に並ぶ人気作家の小説や図鑑、レシピ本etcめちゃくちゃ高いです。しかし、恐れることはありません。デンマークには年に2回、本の売り出しセールがあります。この時期に普段300kr(日本円で約4000円強)する本も100kr(日本円で約1500円程度)やそれ以下で入手することができます。欲しい本がある場合は、すぐに手を出さずに、少し待ってセールの時期に買い込むのがベストです。ただ、僕の好きな言語関係の本はあまり安くならないので泣く泣く元値で買わざるを得ませんでした。
5. デンマークでの生活 〜インターン編〜
5月にオーフース大学での生活を終え、コペンハーゲンにある旅行会社でインターンとして働き始めました。約10ヶ月間の大学生活を終え、より実践的にデンマーク語を使いたいと思い、ダメもとで会社にコンタクトしたところ承諾してもらいインターンとして働くことになったのです。北欧旅行シーズンの繁忙期である5月末〜8月頭までヘルプとして働きました。 仕事の内容は、クルーズ船を利用する日本人グループを港で接客したり、添乗員への挨拶や旅程中のトラブルの有無を日本の支社へ報告することでした。コペンハーゲンで活躍される日本人ガイドの方たちや長年デンマークで働いてきた日本人の社員の方たち、そしてオフィスにいるデンマーク人、イタリア人、メキシコ人、韓国人の上司たちから学んだことは数えきれません。外国人としてデンマークで働くことを経験できたことは、今後僕がどのように働いていくのかに関わらず、人生の糧になっていくに違いありません。「デンマーク語を日本で専攻し、デンマーク語を使って仕事をすること。」僕がデンマーク語専攻に入ってから掲げていた一つの目標を達成することができて本当に嬉しかったです。
6. 留学を振り返って
デンマーク語でデンマーク語を学ぶという目的はおおむね達成することができました。さらにデンマーク語に入ってからの大きな目標の一つも自ら行動することで達成できました。
日本でデンマーク語を使う機会は授業外では非常に限られています。後輩のみなさんには、留学前に積極的にデンマーク語に触れることを心がけて欲しいと思います。デンマークにデンマーク語を学びに留学するという経験は大阪大学外国語学部デンマーク語専攻の学生だからこそできる経験です。毎日の授業を大事に、地道な努力を怠ることなくデンマーク語に取り組んで、最高のデンマーク留学体験をして欲しいと心からそう思います。
最後に、僕の留学体験記を読んで少しでも多くの方にデンマーク語専攻に興味を持っていただき、大阪大学外国語学部でデンマーク語を勉強したいと思う受験生の方が増えてくれれば幸いです。