留学体験談 「人との出会い・絆」 荒木真美(留学時3年生)
【留学先学校名】
・Silkeborg Højskole (2014年8月~2014年12月)
・Vrå Højskole (2015年1月~2015年6月)
この留学は私にとって当初想像していた以上につらく、しかしその分楽しく色濃い充実したものになった。特にこの10か月で出会った人々から学ぶことがたくさんあった。学校での友達や先生はもちろん、友達の友達であったり買い物に行った先のお店の人であったり。いろいろな出会いがこの10か月を彩っていた。
まず壁にぶち当たったのは1校目での自己紹介オリエンテーションのときだった。指示を聞き取るのも必死、デンマーク語の単語がでてこず会話を続けることができない。ほとんどデンマーク人ばかりの環境。自分で望んで来た環境だったとはいえ、周りの友達が楽しそうにおしゃべりしているのを見るとその輪に入りたくて、でもできなくて辛くてしょうがないときもあった。支えになってくれたのは友達や先生だった。ボードゲームやスポーツに誘ってくれたり上手くできたときは褒めてくれたり。アウトドアの授業で体力がついていかなくて遅れてしまっても笑顔で励ましてくれた。そうやってあきらめずにひたすらみんなと一緒に時間を過ごし続けていく中で、ゆったり流れる生活やクリスマスなどデンマークの文化を経験できた。
デンマーク人とだけでなく、難民や移民ともたくさん交流した。欧米・アジアからデンマークに働きに来ている人や大学に進学するために勉強している人、中東やアフリカなどから命からがら逃げてきた人もいた。抱えている事情はそれぞれ複雑だったが、いつも笑顔で困っているときは助けてくれとても親切にしてくれた。日本人とも会う機会があった。保育や福祉の勉強をしにきていたりヨーロッパで職探しをしていたり。そういった人たちと話すのはとても刺激的だった。様々な考え方・価値観を知ることができて世界が広がった。
この留学を通じて得たものは大きかった。心地よい安全地帯を飛び出して、自分の常識が通用しない全く違う文化を持つ人たちと交流し一緒に生活する。完全にアウェイな状態でつらいことも多かったにも関わらずデンマークでは常にぬくもりを感じていた。それはひとのぬくもりであった。つたないデンマーク語で帰国直前に1校目の友達が最後にもう一回私に会いたいと言ってはるばる学校まで会いに来てくれたり、デンマークの記念になるものを小包で送ってくれたり、空港まで仲の良かった友達が見送りに来てくれたときは今までの自分のがんばりが認められたように感じ思わず涙してしまった。また日本ではあまりなじみのなかった問題にも興味を持ち考えるようになった。言語習得だけではない大切なものを得るきっかけにもなる留学、みなさんも挑戦してみてはいかがだろうか。