1年間の留学を終えて  國友 愛珠(留学時3年生)

 

【留学先学校名】
・Silkeborg Højskole (2012年8月~2012年12月)
・Kunsthøjskolen i Holbæk (2013年1月~2013年5月)

 “デンマーク留学”は、実際にデンマークに渡る数カ月前の準備段階から始まっていたように思う。学校決めから決定校への入学申し込みはもちろん、ビザの手配、旅券や保険、日本国内での引っ越し等々…。いろいろとややこしい手続きが多く、楽ではなかったが、同時期に留学する友人の協力や留学への期待で楽しく胸躍らせながらの準備期間だった。
一校目はユトランド半島のほぼ真ん中に位置する街シルケボー(Silkeborg)にあるフォルケホイスコーレで、4カ月間自然と触れ合った。この学校では科目が主専攻と副専攻の大きくふたつにわけられる。学校の主専攻は、アウトドア・音楽・アートなど6つの中からひとつ選び、4カ月を通して取り組む。副専攻は前期と後期で違うものを選ぶことができ、カヤックや水泳、球技などのスポーツから、ガラス工芸や陶芸、写真などのアート、合唱や教育学、文学など、さまざまな分野から選んで受講することができる。アウトドアを専攻した私は、シルケボーとその周辺地域のデンマーク一美しいと称される湖や森で、滞在中は夏から冬にかけて絵ハガキや絵本の中の世界のような景観を楽しむことができた。
 二校目はシェラン島の中北部に位置するホルべック(Holbæk)にある芸術に特化したフォルケホイスコーレに通った。この学校は午前と午後の2種類の授業を毎日同じサイクルで行い、3~4週間後に総まとめ・展示会をして次の3~4週間はまた別の2種類の授業をとる…という時間割だった。選べるのは建築・デザイン・ジュエリー・絵画・版画などで、先生の半数ほどが敷地内の別建物に住んでいるため、展覧会前などは24時間作業にとりくむことも可能だった。アートの学校なだけあって、毎週だれか芸術家を国内外からゲストとして呼び講演会が開かれたり、平日は毎日朝礼でジャンルも年代も問わない様々なアートを紹介したり…と、一風変わった体験ができた。またコペンハーゲンまでもバスと電車で約1時間半ほどで行けることから、隔週末毎に出かけて行ったりもできた。
 この他にも旅行で友人とアイスランドに行き、今までに経験したことのないような火星の様な自然を体験できたり、一校目で知り合った友人を訪ねてハンガリーに行き、北欧とは違った魅力をもつ東欧をのぞきみることができたりと、行ってみないとわからないことをたくさん経験できた留学生活であった。異文化接触から適応、理解まで、留学から帰国して半年以上経った今でも、ようやく“理解”に足がかかったか、くらいの感覚ではあるが、この留学は本当に多くの人の支えによって成し得た大きな自己投資であった。日本を離れ物理的に遠く外に飛び出たわりに、内へ内へと自分を掘り下げていったような場面が多々思い出されるが、自信の世界観がより柔軟なものになったことは間違いないと実感する。