留学体験談  「デンマークへの留学で得た大切なもの」  金 知那(学部3年)


 
   


私は大学3年の春から大学を一年休学し、7月~翌年3月までの8ヶ月間、デンマークのフォルケホイスコーレ(Folkehøjskole)に留学しました。


初めの3週間は、デンマーク政府奨学金を頂いて、外国人のためのデンマーク語と文化を学ぶサマーコースに参加しました。ここにはデンマーク人は一人もおらず、主にヨーロッパ諸国からの留学生と一緒に、毎日デンマーク語や文化を学び、陽の落ちる夜10時まで外でバレーボールをしたりして過ごしました。初夏のデンマークはとても過ごしやすく、きらきらした陽の光の下でゆったりと時が流れていました。


留学生ばかりのこの学校では、授業以外で話される言葉が英語でした。欧米人に比べるとはるかに英語力の劣る私は、会話についていけず、みるみるうちに自信を失っていきました。しかし、そこで出会った友達が、私のデンマーク語交じりの拙い英語を根気強く聞き、そしてたくさんの話をしてくれました。この学校で私は、そこがデンマークであるということを半ば忘れ、代わりに世界中のあらゆる文化に触れることができたのです。


その後は半年、デンマーク人のためのフォルケホイスコーレに行って、デンマーク語を磨き、デンマークの文化と人に囲まれて毎日を過ごしました。留学生は全体の1割程度で、もちろん学校で話されるデンマーク語です。一校目で(幸か不幸か)英語を上達させた私は、最初自分のデンマーク語能力があまりに低いという事実に落ち込みました。でも、デンマーク人とは英語でなくデンマーク語で話したい!そんな思いで、毎日必死に勉強しました。そのうち、彼らとそれまで出来なかったような深い話ができるようになったり、面白い話題を理解し心から笑ったり、お互いの国や共通の趣味について語り明かしたり。そんな小さな喜びを積み重ねていくうちに、気がつけばデンマーク語が上達していました。自分の言いたいことを会得した外国語で伝え、それに対し相手が自然に会話をつなげてくれる。これに勝る喜びはありませんでした。


友達や家族と、また時にはひとりですごす心地よい時間を何よりも大切にする国デンマーク。そのゆったりとした時間の流れの中で、世界中のいろんな友達に出会い、デンマークに限らず他国の文化を知り、そしてそれは自分自身の育った文化について改めて考えてみる機会にもなりました。デンマークで出会ったたくさんのスウィートな友達と、彼らとの思い出は、何にも代えがたい私の宝物です。