高校から憧れ続けたデンマークへ留学! 三好 菜月 (留学時3年生)
Rønde højskole (2015年8月 ~ 2016年1月)
VIA University College (2016年2月 ~ 2016年6月)
私は、デンマーク人と生活を共にしながら、共に学ぶフォルケホイスコーレで約6カ月間、そしてVIA University Collegeというペダゴーや教員を養成する職業短期大学で約5カ月間過ごしていました。
私にとってデンマークに留学することは高校生からの夢だったので、約11カ月のデンマーク留学生活はとても有意義で、貴重な経験になったと思っています。私は、1)語学力の向上と、2)世界でも高く評価されるデンマークの教育や、教育に対する人々の価値観や考えに触れ、専門的に勉強したいという、この2つの目標を軸にして留学に行きました。
フォルケホイスコーレでは、Pædagogik/Psykologiと呼ばれる主専攻を選択し、デンマーク人と共に、教育学や心理学を学んでいました。“授業”というと日本の講義型の授業を思い浮かべるひとも多いかもしれませんが、フォルケホイスコーレでは、あるトピックについて議論したり、それについて発表したりするなどグループワークが基本で、先生も生徒も共に考え、共に学びます。また実際に幼稚園に行って、自分たちが考えた遊びやアクティビティーを子どもたちと行い、それについてフィードバックするなど、理論だけでなく実践も重視します。
フォルケホイスコーレでは、それ以外にも様々な授業があり、テキスタイル、ガラス細工、陶芸、ヨガ、アドベンチャー、バンドのクラスなどなど、日本ではなかなか出来ないようなことも挑戦できました。また、デンマーク人と生活を共にしていたので、デンマークの文化をとても身近に触れることができたと思います。
留学後半は、VIA University Collegeという職業短期大学で、Socialpædagogik(ソーシャルペダゴジー)を勉強していました。ヨーロッパの交換留学ErasmusプロジェクトのHeart-Head-Handsというコースに参加する形だったので、アジアから来た生徒は私一人で、今まで日本人を受け入れたことがないということで、不安でいっぱいでした。奨学金も政府奨学金ではなくVIAの奨学金をもらっており、手続きもややこしかったので、とても大変でした・・・
しかし、授業は本当に面白く、ここで教育学を学べたことで私の視野は大きく広がったと思います。ここでの授業も同様、理論だけではなく実践を重視する学校で、講義型の授業はほとんどなく、実際に身体を使って遊び、音楽やDramaなど子どもと同じ目線で自分たちも体験するというのが授業内で主に行われます。子どもたちがこのような体験や経験から何を学ぶのか、なぜそれが子どもたちにとって重要なのかを、このような実践を通じて学びます。さらにプログラムの中には、1カ月間のインターンシップがあり、私は、Fritidsklubben(放課後クラブ)で、実際にデンマークの教育現場で働いていました。また、子どもの権利に関してグループに分かれて一緒に考え、子どもたちと協力して、それに関するビデオを作成したりしました。文字だけではなかなか説明できませんが、デンマークの教育に興味がある、デンマークの教育的価値観を体験したいという方には、本当におススメしたい学校です!
色々述べてきましたが、この留学を通じて、もちろん語学力を向上させ、デンマークの教育についても学ぶことができ、本当に学びの多い留学になったと思います。しかしそれだけではなく、「自分」というものを考えさせられる機会になったとも思っています。日本の学校では、学力が非常に重視されており、常に成績や偏差値という形で他の子どもと比較したり競争したりしなければなりません。私自身も、常に他のひとと比較し、他のひとより出来ないと一人で落ち込んだり、劣等感を感じたりすることが多かった気がします。しかしデンマークでは一人ひとりの能力や可能性を認め、それを生かして誰もが活躍できる場を作ることを重視します。デンマーク語が上手なわけでもなく、外国人であった私は、デンマークでは、日本でいう「出来ない子」だったのかもしれません。しかし、例えば、日本人である私しか知らない、日本についてプレゼンをしたりする場を設けてくれることで、私は私の能力や知識を発揮できます。それが自信に繋がり、また新たに何かに挑戦するモチベーションを与えてくれます。このように、私はデンマークで他者と比較するばかりではなく、自分ときちんと向き合い、自分が持っている能力や可能性が何なのか、それをどのように生かしていくべきなのかを考えることの大切さを学びました。
高校から憧れ続けてきたデンマークへの留学は、私を大きく成長させてくれた、貴重な経験です。