フォルケホイスコーレへの留学


河野晴菜(留学時3年生)

【留学先学校名】
・Bornholms Højskole (2023年8月~2023年 12月)
・Rødding Højskole (2024年1月~2024年6月)

  <暖炉を囲む>

こんにちは。今回は私が2つのフォルケホイスコーレでの留学生活を通して、デンマークで過ごした10ヶ月間で体験したことや感じたことなどを紹介していきたいと思います。

 大学の間にデンマークへ半年以上留学したいと考えていたため、最初はフォルケホイスコーレへの留学と大学への交換留学のどちらも視野に入れていました。しかし、“デンマーク人との共同生活を通してデンマークの文化や習慣を体験してみたい”、“デンマーク語で日常会話をできるようになりたい”、“大学では学べないことを学んでみたい”という理由からフォルケホイスコーレへの留学を決めました。

 そして、私が留学先に選んだのは、場所も特徴も異なる2つのフォルケホイスコーレでした。
 1校目はEfterårskursus(8月後半〜12月中旬)で、デンマーク本土から離れたボーンホルム島に位置するBornholms Højskole。ボーンホルム島は芸術の島としても知られているため、フォルケにも陶芸やグラス、ジュエリーといったクリエイティブ科目があります。またボーンホルムの自然を活かしたアウトドアやアースコネクションの授業も取ることができます。人数は秋冬の時期ということもあり、40人程度で他の日本人を含むインターナショナル生もいました。そのため、授業などではデンマーク語だけではなく英語でも説明があります。
 2校目はForårskursus(1月前半〜6月中旬)で、南ユラン半島に位置し、デンマークで最も古いフォルケとされているRødding Højskole。歴史あるフォルケということもあり、主科目には政治や文学、ジャーナリズム、デザイン、テキスタイル、音楽、自給自足まで幅広い分野から選べます。人数は90人程度で、インターナショナル生を受け入れるのは稀で、授業なども全てデンマーク語で行われます。

 1校目のBornholms Højskoleでは、新しいことに挑戦してみたいという思いから陶芸の授業と、サステイナビリティに興味があったのでアースコネクションの授業を主科目として取りました。陶芸の授業では初心者ということもあり不安だったのですが、初めて陶芸をする子の方が多く、基本から優しく教えてくれました。アースコネクションは、ボーンホルムの農家の方を訪ねたり、自分たちで収穫したもので料理を作るなど体を動かしながら、環境や生活のことについて考えることのできる授業で、楽しく学ぶことができました。Bornholms Højskoleでは、ほとんどの子がクリエイティブ科目をとっていたので、平日の夜や休日には好きな時にワークショップに行き、各自の作業に取り組んでいることが多かったです。共通のリビングとして暖炉の部屋があり、冬になってくると自然と人が集まることが多く、みんなで話しながら編み物などをしていました。1番印象深い思い出は、インターナショナル生の私を含めた日本人4人で、キッチンの方と協力してJapanese Food Dayを開催したことです。全員分の夜ご飯を作るのはかなり大変でしたが、おにぎりや豚汁、餃子といった日本食を振る舞いました。デンマーク人の友達や先生たちが、たくさん食べてくれて、おいしさに感動してくれたのはとても嬉しかったです。

 
  <カオナシの衣装を着たハロウィーンパーティー>

 2校目のRødding Højskoleでは、学んでみたかったデザインを主科目として取り、グラフィックデザインや建築など幅広くデザインについて学びました。他にもサブ科目を選ぶことができ、フィルムカメラやテキスタイルといったクリエイティブ科目をたくさん取りました。Forårskursusではドイツのドレスデンとライプツィヒへ1週間と、デザインコースでヨーロッパのインターレイルでハンブルク・アムステルダム・パリを回る1週間の2つのスタディーツアーがありました。スタディーツアーではハイキングをしたり、政治についての話を聞いたり、美術館に行くなどの様々なスケジュールが組まれており、とてもハードではありましたが、自分では行かないような場所にも行くことができ、とても充実していました。また、1番印象深い思い出は、1泊2日のヒッチハイクツアーです。3人ずつのグループが決められ、デンマーク国内3ヶ所の目的地をお金なしでヒッチハイクしながら回るというアクティビティがありました。最初に聞いた時は驚きましたが、チームで助け合いながら目的地をクリアすることができた時は達成感に溢れていました。


  <Cafe Aftenの様子>

 このような2つのフォルケホイスコーレでの留学生活は、楽しいことだけではなく、もちろん大変なことや悩むこともたくさんありました。留学生活10ヶ月間、語学に関する悩みはずっとありました。1校目では他のインターナショナル生がいたため、デンマーク語と英語両方を使い分けながら話していくのがとても難しかったです。2校目は全てがデンマーク語であったため、デンマーク人の会話についていくのに必死でなかなか発言できなかったり、語彙力やリスニング力不足から会話の内容が分からない時もありました。分からないことを常に聞かないといけないことに疲れを感じてしまうこともありました。また、1校目と2校目のギャップに大変な思いをすることもありました。1校目よりも2校目の方が大きなフォルケだったので、全てがデンマーク語に切り替わっただけでなく、雰囲気や人の多さといった新しい環境に慣れていくのは思ったよりも大変でした。

 留学を終えた今、私はこの2校のフォルケホイスコーレに留学をして本当に良かったと思っています。大変だったことも自分なりに考えて乗り越えたり、日本ではなかなか経験できないようなことにもたくさん挑戦できました。フォルケごとの違いを感じることができたのも、2つの学校に行けて良かった点の一つです。デンマークで生活した10ヶ月間は私にとって、とても濃く大切な時間になりました。


  <ユトランド半島南部へのスタディーツアー>