外国語学部SCHOOL OF FOREIGN STUDIES

言語ワールドツアー The Language World Tour

日本語専攻

日本語を学ぶということ

 言語ワールドツアーといっても、「日本語」は、ほとんどの日本人にとって「母語」であり、あらためて何か新しいことはないかもしれません。でも、ちょっと意識的に日本語を考えてみると不思議なことがいっぱいあります。例えば、数を数える時、1,2、3、4 という風に小さい数から大きい数に向かって数えていく時は、普通、イチ、ニ、サン、シ という風に4を「シ」といいます。ところが、10、9、8、7 という風に大きい方から次第に小さい数に向かって数えていく時は、ジュウ、キュウ、ハチ、ナナ、ロク、ゴ、そして4はあら不思議「ヨン」というのが普通です。上がっていく時は4は「シ」なのに、下がっていく時は「ヨン」、どうしてこんな不思議なことが起こるのか、ちゃんと説明するのは大変難しい問題です。

「私はタイに3回行ったことがあります」という時の「3回」は3カイと発音するのが普通で、3ガイということはありません。ところが、「私のオフィスはビルの3階にあります」という時の「3階」は3カイとも3ガイとも言うことができます。これまた不思議なことですね。こういったことは、日本語を日々、普通に使いこなす日本人でも、あらためて意識することはまずないことです。

 「も」という助詞は、「おじいさんおばあさん来ました」というように、「おじいさん」に加えて「おばあさん」も来たことを言いたい時に使います。でも、「今日は、雨降っているし頭痛いので学校に行かなかった」という時、「雨」も降っているし、「頭」も降っている、というのはおかしいですね。でも、これは、今日学校に行かなかった理由に「雨が降っている」ことに加えて「頭が痛い」という理由もある、と考えればそれほど不思議な文ではありません。でも「心配で夜眠れない」という時、「夜、眠れない」ことに加えて「昼も眠れない」「朝も眠れない」ということではありません。さらに「夏休み残りあと3日になった」という表現において、「夏休み」以外に何か他のものも「あと3日」になったわけではありません。これらの文は、普通の日本人が普通に日常生活で使う文です。にもかかわらず、これらの表現において、なぜ「も」が使われているのかちゃんと説明するのはとても難しいことです。

 日本語を母語とする日本人が日本語を学ぶということは、外国語を学ぶのとは全く異なる面白さがあります。いわば、「無意識」を「意識化」する面白さ、といってもいいでしょう。

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