外国語学部SCHOOL OF FOREIGN STUDIES

言語ワールドツアー The Language World Tour

ペルシア語専攻

イラン人の俗信

ペルシア語を公用語とするイランは、普段、日本で話題になることも少ないため、その言語や文化を学ぶ面白さもイメージしにくいことでしょう。そこで、イラン人の俗信を紹介しつつ、ペルシア語やイラン文化を学ぶ面白さについて書きたいと思います。

 日本ではお清めのためや不愉快な客が帰ったあとに塩をまきますが、イランでも、お客が長居して帰って欲しいと思う時、客の靴に塩を少し入れると言う人がいます。日本では夜に爪を切ってはいけないなどと言いますが、イランでも夜に爪を切ってはならないだけでなく、切った爪を絨毯に落としてもならないという人がいます。同じように、日本では靴下を履いたまま寝ると親の死に目に会えないと言う人がいますが、イランでは靴下を履いたまま寝るとジン(妖怪)が枕元に来るという人がいます。御札などをお守りのように大事に持つ人もいます。お互いに遠く離れた国なのに似たような俗信があるものですね。親近感が湧きませんか。

 もちろん、イランには日本人から見るとちょっと変わった俗信もあります。イランでは手の平が痒くなったらお金持ちになるそうです。男性がネズミの骨で意中の女性に触れるとその恋愛が成就するという人がいます。妖怪が赤ちゃんを連れ去らないように部屋にお(まじな)いのハサミを置く人がいます。魚の骨を持ち歩くと吉を呼ぶという人もいます。願かけのために絨毯をモスクに寄進する人がいます。土曜日に洗濯をするとメッカに巡礼するのと同じ効果があるという人がいます。どうしてそのような発想になるのか、不思議ですね。

 日本人にとってわかりやすい俗信も、反対に変わっていると思う俗信も、結局は、子供には無事育ってほしい、運気が上向きになってほしい、人間関係で悩みたくない、好きな人と仲良くなりたい、神様のご利益はほしい、でもお化けは怖い、といった感情が元になっていることがわかります。このような感情は世界中のほとんどの人に共通するものでしょう。

 日本とイランは言語も文化も民族も違うのですから、それぞれ物事の捉え方も違っていて当然です。でも、違って当たり前であるはずのものの中に、同じものを見つけたとき、それは単なる共通点ではなく、人間にとって普遍的な何かなのかもしれません。このような話を面白いと感じた方は、是非、大阪大学外国語学部で言語と文化を学ぶことを通してその面白さの理由をもっと深く勉強してみてください。

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