座談会
学生座談会
インドネシア語専攻宮本有紀子さん
インドネシア語専攻中村咲季さん
ベトナム語専攻金田しほりさん
アラビア語専攻林田朝奈さん
阪大独自のプログラムであるCISは、外国語学部の学生にとっては、勉強の成果を試したり、将来に向けた現場的な体験ができるまさに絶好の機会です。今回は、今注目されているアジアや中東地域でのいわゆるマイナー言語を専攻している4名の方に大学生活やCIS体験について話していただきました。
※CIS(カップリング・インターンシップ)とは、大阪大学とアジア等の現地大学の文系及び工学系学生が実施国ごとに8名で、事前研修(企業文化論、コミュニケーションスキル)、現地の日系企業で工場実習(インターンシップ)、文化体験、事後研修(プレゼンテーションスキル、成果報告)を協働で行う、阪大独自の異文化と文理を融合させたグローバル人材育成プログラムです。
司会者こんにちは。今日は外国語学部での活動やCISの体験についてお聞きしたいと思います。まず始めに、そもそも外国語学部で今の専攻を志望された理由を聞かせてください。
宮本 私はもともと高校の時から外国語に興味があったので、どこかの外国語学部に行きたいと思っていました。でも、普通の言語じゃつまらないなぁと思って高校の先生に相談したら、東南アジアは日系企業もたくさん進出しているしこれから良いんじゃないかと聞いたので、よく知らないままにインドネシア語にしちゃいました(笑)でも、勉強してみると学びやすい言語で良かったです。それに少人数のため、教員に直接教えてもらえたりするので、とても内容の濃い授業になるんです。
中村 私は高校の修学旅行でシンガポールとマレーシアに行ったんですが、それで東南アジアにとても興味を持ったんです。その後マレーシアでホームステイをして、現地の方とふれあう中で、いいなぁという思いが生まれました。その後、大学受験の時に、マレー語とインドネシア語が近いことを知ってインドネシア語にしました。もともと英語が好きで、中学時代にニュージーランドに行った経験もあり、受験のときも英語には苦労しませんでした(^^)
金田 私も高校生の時に2週間だけアメリカでホームステイをしたのですが、海外に留学するのは楽しいなと思いました。大学生なら長期留学もできると思い外国語学部にしました。 ベトナム語を選んだ理由は、珍しいからです。周りからも人がやっていないことは面白いのではないかと言われたこともあり、できる人が少ないから良いかも知れないと思いました。 それにベトナムは親日の国だと聞きますしね。実際、留学したときもとても楽しかったし、選んで良かったと思います。実はベトナム語って発音が難しいのですが、文法はフランス語なんかより楽なんです。 私は、中学の時は英語の成績は良くなかったのですが、アメリカでのホームステイ中に単語だけ言っていても通じたことがうれしくて、面白いなあと。それから英語が好きになりました。
林田 私は、自然が好きで研究者になりたいと思っていたので、一度理系大学の農学部に在籍したんです。でも、いざ入って見ると自分は研究より自然の素晴らしさを伝えることがしたいのだと気がついて、それならコミュニケーションだなと思い、もともと外国語に興味があったので1年後に受験し直したんです。 言語は何語でも良かったのですが、アラビア語は使っている地域がとても多いことと、日本でもニュースなどでよくアラブの話題が登場する割に、言語が難しいからか使える人が少ないようなので、面白いなぁと思いました。 実際簡単ではないのですが、ヨーロッパの言語に見られるような文法の例外が少なく、規則通りなので、慣れるまでに時間はかかりますが、憶えたら楽になります。
司会者それでは入学されてからのキャンパスライフについて、外国語学部ならではの特徴などあれば教えてください。
宮本 留学する人が圧倒的に多いよね?
中村 1年間休学して留学する人も多くて、むしろストレートに4年で就活して卒業する人の方が少ないくらい。7割くらいの人が就活のために5年いるんじゃないかな?交換留学で行く人もいるしね。
金田 5年生大学みたいだよね(笑)
宮本 先輩からの留学に関する情報も多いので行きやすいこともあります。金田さんは、もう留学行ったの?
金田 はい、ホーチミンに行ってきました。
中村 私は、インターンシップで、去年1年バリ島(インドネシア)に行ってた。ホテルで働きながら。
宮本 他に外国語学部ならではのってあるかな?
中村 言語が25言語あるけど、普段、学生が言語ごとでかたまるってことはないんじゃない?いつも遊ぶグループって大概いろんな言語の人が集まっているでしょう?
金田 そうですね。グループの中でいろいろな文化や価値観が飛び交って楽しいですね。
中村 そのグループで一緒にUSJに行ったら、たくさん来ている外国人に対して、どの言語でも誰かがしゃべれるのね(笑)そういうのはここの学部ならではだろうね。
司会者皆さん、サークルとかボランティアとかアルバイトとかされていますか?
金田 わたし、普通にスキー部です(笑)今は大会のシーズンで大変です。
宮本 年に1回ある語劇祭に打ち込む人もいるね。学外のスピーチコンテストとか。
中村 2年生まではサークルとかやっていましたが、3年生以降はアルバイトしていました。通訳のアルバイトがあるんです。
林田 私の友達も阪大病院でアラビア語の患者さんの通訳をしています。
宮本 私も茨木市からの依頼で市内の小学校にいるインドネシアの子供の通訳をしていて、一緒に授業受けたりしています。こういう依頼が学校や教授に来るのも外国語学部ならではだよね。
中村 私の友達も外国人旅行者の通訳をやってる。
司会者皆さん、やはり外国語のアルバイトをされるんですね。
宮本 私は、学祭の委員もやっていたのですが、学祭とは別に夏祭りというのがあって、これがとっても楽しいんですよ。毎年手かえ品かえ新しいことができるので、面白いです。やりがいがありました。もちろん国際色豊かで、民族衣装コンテストや民族屋台などもあって楽しいですよ。ぜひ、見に来て欲しいですね。
司会者屋台は学生さんがやっているんですよね?
宮本 そうですよ〜。みんな民族衣装着てその国の料理の屋台をやるんです。これは、外国語学部の伝統にもなっているんです。
司会者楽しそうですね。それでは、CISに参加したときのお話しを聴かせてください。参加の動機やどんな内容でどんな意義があったか聞かせてください。
宮本 以前、インドネシアの田舎でホームステイをしたときに、生活の中に日本製品がとても多いのを見て、こんな田舎にも日本製品が浸透しているんだなぁ、途上国の生活を豊かにしているのは日本製品なんだと感じて、日本のものづくりに興味を持ったんです。それがCISに参加した動機です。CIS先はインドネシアのコマツインドネシアでした。 驚いたことは、現地の学生がとても熱心だったことです。自分の専門分野だけでなく、幅広く勉強をしていました。 私は、文化の違う日本企業の企業理念がインドネシアでどのように伝えられているのか興味があったのですが、日本と同じ企業理念が現地の人にもちゃんと浸透していて驚きました。
中村 私も宮本さんと同じコマツインドネシアでした。私は昨年1年、インターンシップで単身バリ島に行っていたのですが、それとはまた違った経験ができると思って参加しました。 阪大からは工学研究科(大学院生)の人と一緒に行くのですが、それぞれの専門知識を生かしながら、一緒にひとつの課題に取り組むのが面白かったですね。ただ、やはり現地学生と組んだチーム4人の意思疎通を図るのが大変でした。
金田 私は、CISというプログラムがあるのを知らなくて先生に薦められたんです。それで先輩に聞いたら良い経験になると言われたし、自分のベトナム語がどれくらい通じるのかということにも興味があったので参加しました。 私の行った現地企業は、現地でも企業内ではすべて日本語なんです。
宮本・中村 え~~~?!そんなこともあるんだ。それじゃベトナム人は大変だね~。
金田 そうなんです。だから、私の役目はほぼ通訳で、会社から日本語で行われる説明をベトナム語で、現地の学生に伝えるという感じでした。 私たちの課題が、ベトナムの将来とそれに対して日本人としてどうやって手伝えるのかという壮大なテーマだったのですが、ありがちな理想論にならないように、現実味のあるものにするのが大変でした。
林田 私は、理系の企業に入って意思疎通を図るのが自分の経歴的にも意義のあることだと思って参加しました。前に理系にいた自分の強みも生かせると思ったんです。 私はカタールにあるプラントエンジニアリングの会社に行ったのですが、びっくりしたのが、実にいろいろな国の人が働いているのに、カタール人はひとりもいないんですよ。
宮本 え??? カタールにあるのに?
林田カタールの人は石油で潤っているので、わざわざ日系の企業に入って働くという発想がないんです。
宮本・中村・金田あーーー、へえーーーー。
林田 でも、カタールの学生は、日本企業はなぜカタール人を雇わないのかと思っています。ただ、現地の学生もやっぱりお金持ちなんです。
中村 物価高いよね?カタールって。
林田 そうなんです。物価は高めです。でも彼らはお金持ちで、晩ご飯を全部おごってもらっていました(笑)
中村 日本人がおごってもらうんだ。
林田 すごいお金持ちなんです(笑)彼らは、高いレストランに行くので安易に彼らと一緒にご飯に行けないんです(笑)
中村 私の場合は逆に申し訳なかったですね。たぶん普段はローカルの安い食堂で食べているのにCISのときは私たちにあわせて、ショッピングモールの中の彼らにしたら高いレストランで食べてくれてましたね。
林田 逆に私たちの所は、先生がカタール人の学生に食事をさせてあげないといけないのですが、カタールの学生があまりにも高いレストランばかりに行きたがるので困ってました(笑)
宮本・中村・金田へえ~そうなんだ!!!
中村 彼らは、それが普通なんだろうね。国によって違うんだね。
林田 CISの本題の方は、会社から講義を受けた後に、その企業の課題を見つけて解決法を提案するというものでした。グローバル企業で多文化をどう生かしていくか、そのための意思疎通をどのようにやっていくかという外国語学部に親しみのあるテーマでした。
宮本 私たちは、工場の生産性を上げるにはどうしたらよいかという具体的なものだったので、それぞれの専門分野からの提案をするというカタチだった。
中村 私も、ある生産ラインに対して文系的視点での生産性改善策を提案することでした。5Sという作業効率化の指針を現地にどうやって浸透させたら良いかとか、そういう事です。現地で溶接を体験したり、専門外の勉強もしましたよ。
司会者CIS以外の現地の様子はどうでしたか?困ったことなどなかったですか?
林田 暑かったです(笑)摂氏40度を越えるので本当に暑かったです。 それと向こうの大学はとてつもなく広く、しかもイスラム圏なので、男子と女子の校舎が完全に分かれているんです。 私のグループは、女子が私だけだったので、男子の方でミーティングをしていたのですがトイレが男子用しかないんです。 それでカタール人の学生に見張っててもらって、男子のトイレでしていました(笑)
司会者みなさん、将来はやはり言語を生かした仕事を目指しているんですか?
宮本 私は、昔から海外に携わる仕事をしたいと思っていました。来春から電気メーカーに就職するんですが、そこでも途上国とのかかわりはなくしたくないと思っています。将来的には海外へ出て行って途上国の生活を豊かにするような製品を売ったり工場を建てたり、そういう仕事をしたいと思っています。 なので、これからも勉強していきたいと思います。
中村 私も小学校の頃から漠然と海外に憧れていて、外国語を使って世界中を飛び回りたいという夢がありました。来春から航空会社に就職することになったので、ついに夢が叶えられるんです。それは外国語学部に入れたからだと感じています。 夢が叶えられるのも、自分の強みである外国語が話せること、しかもマイナーな言語を話せるのが自分の強みとしてあったと、就職活動を通しても思います。 東京オリンピックでたくさんの人が日本にやってくると思いますが、そのときに英語、インドネシア語、それと独学で勉強している中国語を駆使してたくさんの人と関わりたいと思っています。
金田 私はこれから就活ですが、4年間ベトナム語を専門に勉強をしたので、それを生かせる会社に就職してベトナムに関わる仕事がしたいですね、やはり。
林田 私は、将来はジャーナリズムなどで自然科学を公に伝える仕事をしたいと思っています。でもその前にその方面の知識を積みたいと思うので、まずは、研究機関だったり、そういう開発に携わっている企業などを足がかりに知識を伸ばして行けたらいいなと思います。 特にアラビア語を使うことにはこだわっていないですね。そこを目指すとすごく限られてしまいますしね。 いろんなことに携わっていくうちに、アラビア語を使う機会というのは必ずあると思いますので、そういう風に考えています。
司会者外国語学部に興味がある高校生に何かメッセージはありますか?
金田 大学生活は高校に比べるととても自由です。自分でやろうと思えばいろんなことにチャレンジできるし逆に何もしなければ、あっという間に4年間が過ぎてしまいます。就職するまでの、貴重な時間なので、大学に来たら留学とかに限らず何にでも挑戦して欲しいです。
宮本 高校生の時って一番一生懸命勉強できるときだから、一生懸命やった方がよいと思います。それで夢が叶えられることは多いんじゃないかな。それで人生が決まるという場合もあるだろうし。チャレンジしていった方がよいと思います。
林田 私はずっと外国語に興味があったのに、流れで理系に行ってしまって、やっぱり自分の好きなことは違うなと気がついて、ここに来たんです。 だから理系文系にこだわらず、自分がやりたいことを目指すべきだと思いますね。自分がやりたいことをしていると文句を言えなくなりますしね(^^)
宮本 ここに入る前は、インドネシア語を専攻するとそれしか勉強できなくて、就職もそっち方面にしかできないんじゃないかというのを危惧していたのですが、全然そんなことはないです。 自分の専門言語はあくまでツールであって、もちろん、それを使って仕事ができたら本望なのかも知れないけど、私は、それを学ぶ過程が大事なのじゃないかと思います。一生懸命勉強するとかコミュニケーションをとるとかね。 外国語学部の人は、それを使っていろいろな国の人とコミュニケーションできる度胸がつくこともあるので、それが就職活動の強みにもなるし、他の言語を学んだりもできるので、視野を広く持つと良いんじゃないかと思います。
中村 総合大学だから、入学した後も自分の好きな分野を勉強するのは自由にできるのでどんどんチャレンジしてほしい。
宮本ほんと、高校生の時より楽しいよね~
中村・金田・林田 ほんとにそう(^^)
司会者本日はありがとうございました。