スワヒリ語専攻
専攻について
東アフリカの共通語であるスワヒリ語(Kiswahili)は、話者数が7千万人を超す大言語です。タンザニア、ケニア、ウガンダをはじめ、ソマリア南部やコンゴ民主共和国東部、ルワンダ、ブルンジ、マラウィ、モザンビーク北部など、東アフリカ一帯の広い地域で話されています。タンザニアやケニアの公用語で、学校教育やマスメディアでも用いられており、東アフリカを訪れる人にとっても、非常に有用な言語です。
スワヒリ語は地域により方言が異なりますが、世界遺産にも登録されている旧市街地で有名な、タンザニアのザンジバル島の方言をもとにして、標準スワヒリ語がつくられています。ザンジバルを中心とするスワヒリ地方には、古くから偏西風を利用してアラビア半島やインド亜大陸の人々が往来しており、スワヒリ文化にはインド洋西海域の様々な文化要素が含まれています。またスワヒリ語にはアラビア語からの借用語が多くみられます。
スワヒリ語専攻は、日本で唯一、スワヒリ語とアフリカ地域研究を学部レベルから学ぶことのできる専攻です。スワヒリ語やスワヒリ文化について学ぶだけでなく、アフリカのさまざまな地域の言語や文化についても学びます。さらに、現代のアフリカが抱える様々な問題について学び、講義やゼミでの議論を通してアフリカに対する理解を深めていきます。
教育・カリキュラム
スワヒリ語の習得に重きをおいているのはもちろんですが、広大なアフリカ大陸について、さまざまな面から理解を深めるようなカリキュラムを用意しています。多彩な講師陣を配し、言語に関することのみならず、文学や文化人類学、政治経済、社会学などの授業を開講しています。
1、2年生の授業は、主にスワヒリ語実習が中心となりますが、「アフリカの人間と文化概論」、「アフリカ言語学概説」、「アフリカ社会論概説」、「アフリカ地域論概説」といった講義があり、アフリカの現状について学ぶことができます。
3、4年生では、スワヒリ語上級の授業のほか、2年生までに学んだことの中で興味を持った分野についてさらに知識を深めるため、言語学、文学、政治経済、地域研究などの講義を開設しています。4年生は各自の興味にもとづいて選んだテーマについて、ゼミで研究発表をおこない、卒業論文へと仕上げていきます。
語学としては、東アフリカのスワヒリ語だけではなく、中部アフリカのリンガラ語やコンゴ語、西アフリカのヨルバ語やハウサ語の授業も開講しています。
学生生活
アフリカの言語や文化について広く学んでいるスワヒリ語専攻の学生たちは、アフリカに関することなら、どんなことにも興味をもち、さまざまな活動に自主的に取り組んでいます。サークル活動としては、ケニアのHIV感染の母親たちの支援活動を続けている「トゥマイニ・ニュンバーニ」や西アフリカの太鼓(ジェンベ)を中心にアフリカの音楽を演奏し踊る「タリベ」などがあり、スワヒリ語の学生が中心となって活動しています。
またクラスの活動としては、手作りのアフリカ料理でもてなす新歓コンパや追いコンをはじめ、夏祭りでは東アフリカの軽食(チャイやマンダジ、サンブサ)の屋台を出したり、秋の語劇祭ではスワヒリ語劇を上演したりしています。そのような行事を経るごとに学生同士のきずなは深まっていくようです。
夏休みや春休みにはタンザニアやケニアを旅行する学生が多く、これまで学んできたスワヒリ語を使ってコミュニケーションする喜びを味わっています。そして日本とは違う「人懐っこい」人々に接して、さらに深くアフリカに惹かれていきます。休学する学生も多く、アフリカのさまざまな地域を旅したり、国際NGOと連携してボランティア活動をおこなったり、タンザニアに長期滞在してスワヒリ語の研修を受けたりと、それぞれにアフリカでの貴重な体験を積んでいます。
卒業後の進路
外国語学部の他専攻の学生と同様、一般の企業に就職する学生が大半です。商社やメーカー、金融、流通などの民間企業に就職する他に、教員や公務員になる学生もいます。まれに、アフリカにある日本大使館や日系企業に勤務する者もおり、珍しいところでは、アフリカの親指ピアノのプロの奏者になった者もいます。勉学を続ける者は、本学大学院だけでなく、他大学の大学院へ進学する者も少なくありません。多くはアフリカの文化人類学や政治学、言語学などを専攻しています。
スワヒリ語専攻卒業生の山田美緒さんが、
2023年度 CITIZEN OF THE YEARを受賞しました。
山田さんへのインタビューを掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
教員紹介
- 竹村 景子 教授(スワヒリ語学・文学・文化論)
- 小森 淳子 教授(アフリカ言語学)
- 宮﨑 久美子(助教)
- イサク ザイナブ カッス(特任教員)
研究論集『スワヒリ&アフリカ研究』
スワヒリ語専攻研究室では、年に1回、研究論集『スワヒリ&アフリカ研究』を発行しています。この論集は、大阪外国語大学時代の1990年に創刊され、大阪大学外国語学部になってからも継続的に発行され、2016年で27号になります。
言語・文化・文学・社会・政治経済などの分野を中心とする人文・社会学系のアフリカ研究の論集で、本研究室の教員や院生のみならず、日本内外のアフリカ研究者による論文や研究ノートなどが掲載されています。日本におけるアフリカ研究の成果発信の場としては貴重な論集であり、重要な役割を担っていると自負しています。
『スワヒリ&アフリカ研究』の内容は、大阪大学の機関リポジトリ(OUKA)にて公開されています。以下からご覧ください。
本論集についてのお問合せ、また投稿のご希望などは、以下のアドレスまでご連絡ください。今後も日本のアフリカ研究発展のために貢献すべく、継続して発行していくつもりですので、皆様のご支援、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
連絡先:『スワヒリ&アフリカ研究』編集委員会 → swahiliandafrica@gmail.com