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専攻語案内

モンゴル語専攻

専攻語の沿革と将来

我々モンゴル語専攻は、1921年(大正10年)以来、今年で創立94年目を迎える由緒ある専攻語です。その間、創設の大阪外国語学校(1925年~1943年)、大阪外事専門学校(1944年~1952年)、大阪外国語大学(1953年~2007年9月)、大阪大学(2007年10月~)と変遷し、現在に至っております。1925年3月には、モンゴル語初代教授の棈松(あべまつ)源一氏を、また同年、東洋史学者の石濱純太郎氏を、さらに1944年9月には、福田定一氏、後の作家の司馬遼太郎氏を、それぞれ輩出し、後世に多大な功績を残しました。
一方、モンゴルは、1911年に中国清朝から独立宣言し、ボグドハーン政権を樹立し、くしくも大阪外国語学校、蒙古語部が創立した1921年には、モンゴル人民革命が勝利し、従来の封建主義体制から脱却し、その後70年余りの長きにわたり社会主義体制を発展させてきましたが、1990年代初頭に民主化が起こり、現在では民主主義国家として生まれ変わり、主に牧畜業と鉱山業を主産業として、急速に発展しつつあります。
とりわけここ20年ほどは、モンゴル力士による大相撲での活躍により、日本人のモンゴルに対する関心は、急速に深まったほか、2012年には、日本・モンゴル国交樹立40周年の記念すべき年を迎え、今後、戦略的互恵関係を築くことで合意したことにより、将来的には、我々モンゴル語専攻が果たす役割も、確実に高まってくるものと大いに期待できます。

モンゴル語教育

本学モンゴル語専攻では、基本的にモンゴル国の標準語である、通常「モンゴル語ハルハ方言」と呼ばれる言語について学びます。モンゴル語は、日本語と同じSOV型言語であり、単語の構成は、<語幹+接尾辞+語尾>からなります。さらに、母音調和という母音のクラス分けがあり、音声的には、L音とR音の区別があります。また、語彙的には、遊牧社会ならではの家畜語彙が豊富であるほか、口伝えの文学、すなわち口承文芸が非常に発達しており、民話やことわざ、なぞなぞなどが豊富にあります。

1,2年次の前期課程では、とりわけモンゴル語の習得が不可欠です。その際、1941年から現在までモンゴル国の公用文字で、ロシア語のアルファベットに新たに2文字を加えた、合計35文字からなる「キリル文字」表記(横書き、左から右へ)によるモンゴル語と、もう一つは、13世紀のチンギスハーンの時代から、およそ800年にわたりモンゴル民族に用いられてきた伝統的な「モンゴル文字」表記(縦書き、左から右へ)によるモンゴル語の両方を同時に学びますが、この時期、モンゴル語の習得にいかに真剣に取り組むかによって、その後の進路が決定されるといっても全く過言ではありません。
3,4年次の後期課程では、言語、文学、歴史、文化などの分野のうち、各自関心のある分野で専門知識を蓄えつつ、最終学年の4年次では、その集大成として卒業論文を完成させなければなりません。

新入生へ贈る言葉

先ずは、この4年間、「大いに学びなさい」と言いたいです。それは、自分の専門であれ、好きな分野であれ、何でも構いません。ただ目先の結果だけを求めることなく、先ずは無欲で「大いに学ぶ」ことです。しかも、ただ広く浅くではなく、ある一つのことを「自分なりに極める」ことです。もっとも重要なことは、学ぶ時の3つの心がけを常に心に刻んでおくことです。それは、「謙虚・情熱・執着」の3つです。自分に謙虚であること、謙虚でないと物事は学べません。情熱をもつこと、情熱がなければ先へは進めません。執着すること、1つのことに執着しなければ極めることはできません。何かを自分なりに極めることで、きっとその後の人生の大いなる自信につながることでしょう。
最後に、モンゴルのことわざより、「物で自らを飾るよりも学で自らを飾れ」(Edeer biyee chimekheer Erdmeer biyee chim)、「自らが努力すれば運は味方する」(Ezen khicheewel Zayaa khicheene)という、私の大好きな2つのことわざを、皆さんに励ましの言葉として贈りたいと思います。
(文責 塩谷茂樹)

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